新しい街の思想_災害復興の後に考えること
1。住んでいたところに住みたいという気持ちを大切にする(記憶とコミュニティー)定着して住む人間という生き物の自然な連続性を大切にしたい。新しい挑戦と過去を愛おしく思うことを同時に大切にするこころ。「変わらない人間」、「懲りない人間」とともに、「変われない人間」を意識する。
2。自然に逆らわないで自然の力を利用する。自然の一部としての人間の行き方を大切に、自然への敬虔な気持ちを持ち続ける。自然の力は人間を遥かに越える。キリスト教の思想から出来た西洋の自然観ではなく、東洋の自然観を再評価する。
3。生と死を素直に受け止める。自然の一部だから生死も当然のなりゆき。滅びること、破壊されることをも美しく感じるこころを大切にする。散る桜は美しい。死を歓ぶ風土を育てる。
4。今、生きている命を大切にする。生命最優先。物の喪失は江戸っ子から学んでこだわりを持ちすぎない。命があれば家は失ってもいい、未来がある。喪失がそのまま再出発する歓びになる。物へのこだわりは大切な気持ちなのだが、それにの関わらず物にこだわらない精神風土を育てる。
5。経済の仕組みを最大限に生かす。失う可能性を保険への加入でカバーする。防波堤を築くのではなくその投資分を家屋の流出時の再建費用として保険に加入する。地方自治体も街再建保険を日常から掛ける。社会制度を発達させて人間の積極的な生き方を可能とする制度を設ける。
6。自助の思想を大切にする。ボランタリーの意味は自発性のことである。街は自分たちでつくる。建築も可能なところは自分たちでつくる姿勢を持つ。なんでも官僚に依存するのではなく、自分ですることを覚える。自分でする事を覚えると他者を助ける気持ちも育つ。
7。自然エネルギーを基本としてエネルギー政策を考える。地球上のどこにでもある、太陽、風、川の流れ、地熱(マグマ)、などを利用した発電を中心に据える。「限りある地球」を大切に、地球の定員を遥かにオーバーした現在の地球の住民は地球の能力を意識してその限界を越えないように配慮する。
8。デジタル時代は世界を一つにした(グローバル)のだが、同時に自律性を可能とした。インターネットは個人が直接世界の個人とつながったが同時に自分というものの中心性に気付いた。家族単位では自家発電、雨水利用の水道、下水の自家浄化など、地域単位では食料の自給自足、地域発電などの自給自足型と地域の特色、人の特色を生かしたネットワーク型の二つの融合した社会をつくること。
■この思想で街づくりを考えていきたい。