「TRIPOD」は英語で「三脚」の意味です。トライパッドと読みます。
この小さいテーブルはこれまでのMETAPHと異なって「三本脚」であることが最大の特徴です。
METAPHはアルミニュームの鋳造による天板に雌ネジをインサートして、そこにクロームメッキしたスチールの脚を取り付けるのですが、このTRIPODは天板も三本の脚もスチールです。
三本脚は安定します。三本脚は角度があるから特別の美しさがある。影も美しい。
丸い天板と四角い天板がありますが、四角い天板のテーブルも三本脚です。ちょっと考えると不合理に見えますが実は脚の方向と天板の辺の方向がまちまちになってこれがまた美しいのです。
アルミニュームのMETAPHは軽いからいいと思ったのですが、それは輸送時のこと、スチールのTRIPODは重いからいい。使用時に安定しているのです。
スチールの板からつくるから、天板が初めから平滑ですからコストも安価になる要素を持っている。現在は優れた職人の手技で精度高くつくっているので安価ではないのですが、量産時にはその効果がでるでしょう。マーケットの様子を見ながら将来には安価になるようにしたいと思っています。
その職人さんとは倉俣史朗さんの家具をつくってきたイシマルさんです。硝子はこれまたミホヤさんですから仕事はいい。
タイプには仕上によって三種類あります。
_NUDE/これはGUNBLUEの塗布による仕上です(GUNBLUEは防錆塗料です)。これには「漆のトレー」が準備されます(現在生産中)
_パール塗装のコーティングによる仕上です。現在、試作は「黄色」、「白」、「緑」、「青」、「黒」、「濃茶」の6種類です。
_硝子(裏面にカラーコーティング)板をシリコンで接着する仕様です。現在、「ピンク」、「アイボリー」、「スカイブルー」があります。
この「小テーブル」は人の座っている椅子、ソファーの隣に置いて仕事や生活を補佐する道具です。空間のアクセントにもなります。近頃、リビングルームのソファーのためのセンターテーブルが売れなくなったと家具ショップでは言っています。この小さなテーブルを複数置いて、飲み物やテレビのリモートコントローラーや本を置くのがこれからのリビングルームの風景だろうと思います。
「移動性のある小さいテーブル」。自分のデザインを製品化する会社、株式会社Kはこの世界をこれからも大切にしていきます。Kは「本格的な家具」は造りません。「家具会社」はコーディネートしたいろいろなシリーズを準備する必要がありますし、大きなショールームや倉庫が必要です。Kは「小家具」をテーマに取り組んでいます。「小椅子」、「小テーブル」、「小キャビネット」、「小引き出しキャビネット」などです。
実はこの「小家具」は日本の伝統的道具です。日本には「家具」の歴史がありません。家には「床=プラットフォーム」があり、そこに「畳」が敷かれて、「座布団」の上に座り、「布団」の上で寝ます。その周辺には「屏風」があり「火鉢=煖房具」や「小箪笥」があって生活していました。家具の職人ではなく、「指物師」が小家具を造っていました。Kはこの伝統を守って、「小さな家具」に取り組んでいきます。
新しい世界の生活に役立つ「小家具」がKの目指す商品です。
昔からこのテーマは意識していました。「一番小さい椅子」に挑戦もしましたし、「雑貨としての家具」が僕のテーマでもありました。これは言い方を変えれば「小家具」です。
雑貨と小家具のK・・・・これからもこれを続けます。
(2011、10、31)