Vol.266|2020.07.20
7月_物学研究会オンライン
「どこにいる日本、どこに行く日本」の第2回目は、 グッドデザイン賞審査員長に就任された安次富隆氏を迎え、 新生活様式、ニューノーマルにおける グッドデザインとは?を考えます。
7月_物学研究会オンライン
●講 師:
安次富隆さん(デザイナー、ザートデザイン主宰、多摩美術大学教授)
●日 時:
2020年7月20 日(月)16:00~
16:00~17:00 安次富さんレクチャー
17:00~18:00 加藤さん、植松さんも加えたセッション
●テーマ:
「どこにいる日本、どこに行く日本―新生活様式に於けるグッドデザインの在り方」
2020年度の物学研究会のテーマは「どこにいる日本、どこに行く日本―知の時代から美の時代へ」。
「日本」から世界の今と未来を探ります。世界は今、コロナパンデミック後の社会を必死に模索しています。そしてデザインもこれからの在り方が求められています。
今回の物学研究会は、本年度グッドデザイン審査委員長の安次富隆さんを中心に、これからのデザイン、グッドデザインについて討議、考える場となります。前半はデザイナー安次富隆さんの活動や哲学から、今年度の審査テーマ「交感」についてレクチャーいただき、後半は二人のゲストに加わっていただき議論を展開します。
●参 照:
グッドデザイン賞審査委員長、安次富隆さんメッセージ
https://www.g-mark.org/guide/2020/guide1.html#guide1
●講師経歴
安次富 隆(Takashi Ashitomi)氏
プロダクトデザイナー|ザートデザイン主宰、多摩美術大学教授、2020年度グッドデザイン賞審査委員長
http://saat-design.com/index.html
1959: 沖縄県生まれ
1985:多摩美術大学 美術学部 デザイン学科 立体デザイン専攻 プロダクトデザイン専修卒業
1985-91: ソニー(株)デザインセンター入社。テレビ/オーディオ/ビデオのデザイン
1991-:(有)ザートデザイン設立。 取締役社長
1993-2002:多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクト 非常勤講師
2000-:日本産業デザイン振興会 グッドデザイン賞審査委員
2008-:多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクト 教授
現在は、プロダクトデザイン、地場産業開発、デザイン教育、デザイン評価など、総合的なデザイン
アプローチを行っている。(ザードデザイン WEBより)
推薦者のメッセージ
7月の物学研究会は、グッドデザイン賞審査委員長に就任した安次富隆氏をお迎えし、本年度の審査テーマである「交感」を切り口に、コロナウィルス禍によるパラダイムシフトのなか、グッドデザインの在り方を考える場となります。
安次富さんは、ソニーのインハウスデザイナーを経てデザイン会社ザートデザインを起業、多摩美術大学教授としてデザイン教育も実践し、幅広い経験や知見をお持ちです。
今回は、前半は、安次富さん自身のデザイン活動や哲学を通して、それが今年度のグッドデザイン審査テーマである「交感」にどのようにつながっているのかを解説いただき、後半は審査員長という視点から、グッドデザインの運営母体である日本デザイン振興会常務理事の加藤公敬さん、そして私、植松(グッドデザインフェロー)も加わり、ウィズコロナ、アフターコロナ社会のコトやモノ創出、グッドデザインの在り方を論議します。そこから、今後のデザインの課題や方向について、皆さまと共有できればと考えています。
物学研究会 ディレクター
植松豊行
Sony SL-2100(通称The Beta)_1991年
Betamax15周年記念モデル。当時、すでにソニーもVHS方式のビデオデッキを生産しており、Betaのシェアは数パーセントという状況でした。車椅子を使用していた井深さんと、全国に数千人居たベータファンのために立ち上がったプロジェクトです。資金も、人も、時間もない中、VHSを超えるインパクトのあるデザインを目指しました。今では珍しくない外観ですが、リモコンも含めメカニカルスイッチが一切ないデザインに挑戦した。
Taketlery_1999年
竹職人、甲斐治夫さんに依頼して製造から流通まで行っていた竹製のカトラリー。甲斐さんとの仕事での大きな気づきは、類い稀な職人の技も「ハイテク」という概念で語れるということです。それ以来、常に機械と人のハイブリッドを意識しながらデザインに取り組んでいます。
HiHill(高岡市伝統産業振興プロジェクト)_1999年〜継続中
最長のプロジェクトです。今年21年目を迎えます。
伝統産業が衰退する状況のなかで、継続的なデザイン力を高岡の作り手たちに提供するしかないと思うに至り、特別なデザイン教育を受けなくても作り手たちがデザイナーになれる方法にトライしました。メンバーから、能作(鋳物)、二上(鋳物)、折井(着色)といった企業が、世界的にも活躍するに至っています。このデザインでの特筆すべき点は、誰もが平等の立ち位置で、デザインすることによって、地域を変えるほどの力を持ち得ることに気づいた点です。
Ancient Futures_2019年
AIなどを利用したデータマイニングに疑問を持ち、スタートしたデザイン研究(プロダクト・データ・マイニング研究です。2019年、展覧会を表参道のGalley5610で開催。https://www.deska.jp/past/6766.html
プロジェクトの動機は、ビッグデータとAIを用いたデータマイニングが進む現在、一方で、本来のプロダクトには実は膨大なデータ(言語や数値化不可能な情報も含む)があり、そこから得られる回答は、無限にあるという認識を持ってデザインを行なっていくべきではないか?という問題提起だった。
これは人とモノの「交感」で、今年度のグッドデザインのテーマである「交感」とは人と人だけでなく、人とモノとの間にも成立するのではないか?と思う。